代表メッセージ
MESSAGE
医療ニーズに基づくインプラントデバイスの開発
代表の田邉は、これまで「薬に置き換わる電気刺激器(Electroceuticals)」をテーマにスタンフォード大学でバイオメディカルインプラントに関する研究開発を行ってきました。最初のアプリケーションとなったのは心臓のペースメーカーでした。バッテリー交換による患者の負担が大きく、またリード線からの感染症により毎年死亡者がいるため、カテーテルにより直接心臓内部へ埋め込むことができる「米粒大のペースメーカー」を開発しました。デバイスのサイズが小型になると、バッテリーを利用することが出来なくなるため、何らかの方法でワイヤレス給電により体外から心臓内部まで電力供給する必要がありました。そこで、メタサーフェスという電磁波を自在に操り体内でエネルギーを集中させることができる送信機を開発し、当時世界で初めて右心室、右心房、左心房へ埋め込まれたペースメーカーを完全にワイヤレスで稼働させることに成功しました。
研究開発例はそのほかにも光で神経を刺激することができる「オプトジェネティクス」など多岐にわたり、直近では「アルツハイマー病」の治療機器の開発を行っています。アルツハイマー病とは「短期記憶」から「長期記憶」へ情報が伝達しにくくなる病気ですが、当社はその間にチップを埋め込みシナプスを通じてチップが情報を保持することでアルツハイマー病の根本的な治療を行う研究を行っています。当然、このデバイスをインターネットと接続すれば「必要な時に必要な情報が脳内に直接インストールされる」=BMI(Brain Machine Interface)となるわけです。
デジタライゼーションの流れ
コロナ禍もあり各領域のデジタル化は急速に進んでいますが、これらのデジタル化はどこに向かっているのでしょうか?
例えば、スマートフォンはデジタル化の代名詞のように語られますが、当社の解釈ではスマートフォン自体はデジタル化されていますが、スマートフォンから脳内で処理されるまでにアナログ情報に変換されており、これは究極的なデジタル化ではないと考えています。
恐らく、10年後20年後の未来の世界では「どうして、こんなに重くて高くて落としたら壊れちゃうもの使っていたの?笑」と言われてしまうでしょう。
では、究極的なデジタル化とは何か?それは先にも述べた「脳内に直接情報をインストール」する世界です。当社はワイヤレス給電という技術をベースに、様々な国の様々な領域と接点があります。各領域におけるデジタル化に差異はありますが、どの業界も最終的に行き着く終着点は、究極的なデジタル化であり、デジタルツインやDxという言葉は、あくまでその過程のフェーズを表しているに過ぎません。
次のデジタル化のキー=IoE社会
究極的なデジタル社会はそう遠くない未来に実現しますが、次の時代のキーワードとなるのが「IoE(Internet Of Everything)社会」です、IoE社会ではあらゆるものがインターネットに接続します。ちょうど皆さんの手元にあるペットボトルやペン、紙などです。2021年現在は5G社会のインフラが整いつつある環境ですが、2029年より開始予定の6G規格は、そのIoE社会を前提としており、既に規格策定が各国で開始されています。実はその中に、ワイヤレス給電という単語もあるのですが、これはIoE社会がワイヤレス給電なくして実現不可能だからです。すなわち、従来の配線やバッテリーという技術では無数のデバイスをインターネットに接続するための電源供給を実現することが困難となるのです。
市場へのインプリメンテーション
当社事業領域は「FA(Factory Automation)」「ビルマネジメント」「メディカル」を中心としています。例えばFA領域では、工場内のあらゆるセンサーをワイヤレス給電で稼働させることで「メンテナンスフリー」を実現します。特に「可動部」では頻繁に断線が発生し、製造ラインが停止することで企業は多額の機会損失を発生させていました。当社は本課題に対して、ワイヤレス給電技術を応用し「断線」という概念をなくします。
ビルマネジメント分野では、多くのセンサーを導入したいニーズがある一方で、配線・バッテリーの交換コスト高から、空間のデジタル化が進んでいない状況です。当社は温湿度センサーだけでなく、CMOSカメラなどあらゆる「デジタル信号処理デバイス」をワイヤレス給電によって稼働させます。これらFA事業とビルマネ事業の応用領域は広く、IoE社会に向けた様々なデバイスのワイヤレス給電化が実現されます。
忽然と現れる新市場:インプラントデバイス
世界の動きは同時に、体内の情報もデジタル化させていきます。例えば、心臓のペースメーカーは同時に脈拍を計測するセンサーにもなり、体内のあらゆる情報がデジタルに変換され治療だけでなく、未病にも役立てられるようになります。心臓以外にも血液の状態や涙のセンシングなど、これまで取得できなかった様々な生体情報が取得できるようになってきます。その究極形態がBMIであり、脳内へ情報を届けたり、脳内の情報をクラウドに接続したりすることができるようになります。
近年、インプラントデバイスへの注目は非常に高くなってきており、イーロン・マスク氏もNeuralink社を立ち上げ、脳内にチップを入れる動物実験を開始しています。
当社研究室も脳内チップの研究開発を行っており、世界最先端技術の開発をスタンフォード大学を中心とした世界中の研究者と共に継続しています。
究極的なデジタル社会
30年という時間は長いようで短く、圧倒的な変化が生じさせます。1980年にスマートフォンがこれほど世界中で普及することを誰が想像できたでしょうか?当社は2050年に向けた次の30年間で究極的なデジタル社会を一定程度実現し、かつ得られた情報がシームレスに接続することで人間に有益なサービス展開がされる世の中を実現します。
IoE社会は10年で実現するでしょう。眼鏡や紙、ペットボトルなどから様々なデータが当たり前に取得され、もはやセンサーという単語は死後と化すでしょう。
得られたデータはクラウドにアップロードされ、それらの情報と生体情報が30年以内に接続され我々は新たなサービスを享受しているでしょう。当社は生体情報を保持することができる稀有な存在であり、これらの究極的なデジタル社会を実現することができる数少ないプレイヤーであることを自負しています。
近年はAIが人間を超えるシンギュラリティが唱えられていますが、当社の実現したい世界は「人間がAIを使い、コントロールする」世界です。(脳内にチップを入れるが支配するのは人間)
これらの社会実現のため邁進してまいります。
そして、我々のビジョンに共感して下さる方は、是非ジョインしてください。
“共に、世界を変えましょう(Die Luft der Freiheit weht)”